
独立してはじめて百貨店で個展をすることになりました。
大きなチャンスに張り切ってたくさん作品を造り、成功することだけ考えていました。
でも、作品は全く売れず個展は大失敗でした。作品に自信があっただけにとても落ち込んでしまい、自分の工房にもどったとき今まで使ってきた焼物の土も釉薬もすべて処分してしまいました。
自分がどんなものが造りたいのか、そのためにはどうしたらいいのか迷い考えていました。
そんな頃ニューヨークに行くチャンスに恵まれました。はじめてのニューヨークは悩んでいた自分に新しい刺激となり、いままで以上に大変な思いをしても、陶芸作家として生きていく決心をさせました。
ニューヨークから戻った後、すぐにヨーロッパに誘われました。子供の頃ずっと憧れていたパリにどうしても行ってみたくて、あるだけのお金をあつめていくことにしました。帰ってからの生活のことなど全く考えていませんでした。
ヨーロッパでは見るものすべてが新鮮にうつりました。街並みも建物も刺激的で、なかでも石畳の色は鮮烈で、迷っていた自分に、<こんな色の焼物を造りたい>と思わせるものでした。
ヨーロッパから帰ると待ちきれないように、それまでの作品とは全く違う自分の形・色造りに夢中になりました。これが今も続けている炭化(焼物を煙で燻す)という技法です。