つまみかんざし職人について



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さつき

「サツキ」のかんざし
 私が「つまみかんざし職人」になったのは、父の仕事を受けついだからです。 父は、おじいさんの仕事を受けつぎました。 こうして代々とかんざし作りの技術が受けつがれて来たのです。

 小学生の頃、夏休みとか春休みなどは、かんざし作りの手伝いをしていました。 こうして段々とかんざし作りが身についていったのですね。 やがて大人になって、つまみかんざし職人になる時には、 簡単なかんざしなら作れるようになっていました。 長い時間が必要な修行(しゅぎょう)の期間を、 子供の頃のお手伝いでしていたのですね。

 「なぜ、職人になったのか」ですって?
それはやはり「物をつくるのが好き」だったからでしょう。 小学校・中学校・高校と、絵を描いたり・工作をする、 図画図工・美術・技術などの授業は好きでした。 小学生・中学生の頃は、 「将来どんな仕事をしようか?」なんて考えていませんでした。 毎日友達と楽しく遊んでいた記憶(きおく)しかありません。 高校生になって、ひんぱんに喫茶店に通(かよ)うようになり、 JAZZ という音楽がとても好きになっていた頃は、 「JAZZ の流れる喫茶店をやりたい」とも思ってもいました。 しかし、「物を作るのが好き」であり、 自分の作った物が残る職人にも魅力(みりょく)を感じていました。 そして父の話した昔の事が心にひっかかっていました。
 「戦争中この仕事は 贅沢品(ぜいたくひん)を作っている、として禁止されていたんだ。」という話しです。
平和な時代にしかできない仕事、に心がひかれていました。お金のためや生活のために戦争に加担(かたん)する事のない職業、であることも心のどこかに少しあったのでしょう。 「物を作るのが好き」なのが一番大きな理由ですが、そんな思いも心のどこかに少しあったと思います。

 「物を作るのが好き」だから職人になり、かんざしも作れるようにのですが、 しかしこれだけでは一人前の職人とはいえません。
 上手に作れる技術だけでは、仕事として不十分です。 人々が喜ぶような「いい物」が作れなければいけません。 そのためには技術を高めるのはもちろんのこと、 よい物を表現できるようにならなければなりません。 それには、「心の訓練」のようなことが必要になります。 色々なものに興味を持ち、 素晴らしい物には感動する心、をいつも持っていなければならないと思います。 「いい物」を作るには、「いい心」を持つ人になることも必要です。

 伝統を守ってゆくには、ただ作っているだけではいけません。 使う人・欲しがる人が誰(だれ)もいなければ、その仕事はやがて無くなってしまいます。 誰かが欲しくなる「いい物」を作らなければいけないのです。 多くの人が「いい物」と感じるには、自分が多くの「いい心」を持たなくてはいけませんね。 そんな「いい物」がたくさん作れたら素敵ですね。

 この仕事(職業)を選ぶ時、世の中の全ての仕事を知っていて、 その中から今の仕事を選んだわけではありません。 今でも「へぇ〜、こうゆう仕事もあるんだ」と初めて知る仕事もあります。 しかし、そんな限られた知識の中から選んだ今の仕事でも、 選んだ事に後悔(こうかい)はしていません。 仕事を続けていく内に、もっともっとかんざし作りが好きになって行きました。 「いい物」を作ってゆくことがとても楽しいのです。
 「どんな仕事がいいか?」を考えるのも楽しいけど、 「どんな事が好きなのか?」「どうしたら楽しくできるのか?」を考えるのも楽しいよ。
モデル




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<このページは、石田毅司が制作しました>
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