鍛冶屋の朝はとても早いのです。朝5:30ごろ仕事場に入り、火床(ほど)に火を入れます。朝一番に焼入れ(注1)をするので、その準備をします。

焼入れはまわりを暗くして、火の温度を目ではかりながら鉄を熱くして一気に水の中に入れます。そうすると鋼が堅くなり、ねばりがでます。AM8:00ごろに焼入れが終わり朝食になります。40分ぐらい休んでから仕事場に入り火造り(注2)をはじめます。地金(じがね)と鋼を接合し、小造り(こづくり-注3)をしながら彫刻刀の形にしていきます。午後は仕上げに入ります。前日火造りをして焼きなまし(鋼をやわらかくする工程-注4)したものにヤスリをかけて、厚みや寸法を決めていきます。翌日焼入れができるように仕上げ(注5)ます。
また一方では朝、焼入れをした彫刻刀に研ぎを入れ(注6)刃を付けて切れ味をだします。その後ほうの木の柄に入れて(注7)完成です。

PM3:00とPM5:00に20分の休憩を入れてPM8:00ぐらいまで仕事をします。

彫刻鍛冶屋の仕事はとても大変です。工程が多くほとんどが手仕げなので、一日にでき上がる数もかぎられてしまいます。家内製手工芸なので、それぞれが分担して仕事をしています。

 



 (注1)焼入れ…火床の中で、前日仕上げた彫刻刀を真赤に熱し、目で温度をはかりながら水の中に入れ、堅さとねばりを出します。

←私です



 (注2)火造り(ひづくり)…極軟鉄と鋼を接合します。プレスハンマーや金槌で厚みを作りだいたいの寸法に切断します。

←父です



 (注3)小造り(こづくり)…火造りでだいたいの寸法にしたものを火床の中で赤く熱して金槌で打ちながら彫刻刀の原型を作ります。

←父と弟


(注4)焼なまし…小造りしたものを火床で熱しワラ灰の中に一昼夜入れます。そうすると鋼がやわらかくなりヤスリがかけられます。



 (注5)仕上げ…前日焼きなまししたものをヤスリがけして彫刻刀の形に仕上げます。

←父と弟



 (注6)研ぎ入れ…焼入れした彫刻刀を砥石を使って切味を出します。

←私です


(注7)柄付け…だいたいがほうの木の柄を作り、その中に彫刻刀を入れて完成です。