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最初にクイズをひとつ出します。
皆さんの家にある、ハケ、ブラシ、タワシ、この言葉の使い分けはどうして起きたのでしょう。
この三つの品物の違いを、ここで一分間だけ考えてみてください。

ハケは「刷毛」と書きます。
ハケとは、獣毛の毛先を平らにそろえて、二枚の板で両方から毛元をはさみこんで、糸で 結わいて固定したものを言います。 これは柔らかな毛先を使うので、おもに「塗る」ものに使われます。

ブラシは「刷子」と書きます。
ブラシは一枚の板に複数の穴をあけ、この穴へ糸で獣毛を中央から二つに折って植え込みます。
毛元が上にきて硬さがありますので、おもに「払う」ときに使われます。

タワシは「束子」と書きます。
タワシは植物の繊維を一列にならべ、中央を上下から二本の針金でねじり込んで、まるめます。
堅い植物を使いますので、おもに桶や鍋などを「洗う」ときに使われます。

どうでしたか、うまく答えられましたか。
作り方の違い、使い方の違いによって、昔からこう言い分けていたのですね。
日本人って、言葉をとても適切に使っていたのだということを、私は嬉しく感じているのですが、
皆さんはどう受けとめましたか。

burashi@yumeshigoto.gr.jp

学生時代学校を卒業してから夢の実現ブラシ作りの道具追記

 

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このなかで、わたしはブラシを手作りする職人で、この仕事に就いてから25年経ちます。
いまでもブラシを作ることが楽しくてしょうがないのですが、子供の時からこの仕事に就こうと決めていたわけではありません。
小学校の卒業記念作文「将来の夢」では、父が鉄道員だったからでしょうか、わたしも鉄道員になって、日本中に線路をひくんだと書いています。
中学生のころは、商人になろうと思っていましたし、高校生のころは社会に目を向け、 日本を良くしたいと考えたりもしていました。
若いころは考えが幾度となく変わるもので、そのなかにすじ道というものがありません。 わたしも同じでした。 自分の心を満たすために、この時期本も少しは読んでいます。
40年経っても忘れられない大切な本が二冊あります。
サン・テグジュペリの『星の王子さま』 十代のころ、この本を胸に抱きしめて、ぽろぽろ涙を流したのを鮮明に憶えています。 四冊買いかえています。
皆さんが大人になったら、同じ作者の書いた『人間の土地』を読むことをおすすめします。 もう一冊は、島崎藤村の『破戒』です。 十数回は、読みなおしていたのを記憶しています。 この人の詩集『若菜集』が大好きだったことがきっかけになりました。
皆さんが大人になったときに、「自分にはこんな本がある」って言えたら、人生にふくらみを感じるはずですよ。
 
   

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学生時代学校を卒業してから夢の実現ブラシ作りの道具追記

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
   
わたしが学校をおえたのは25才の時です。教師になろうと考えていました。
そのころ、父がわたしにこう言いました。 「教師になるつもりだったら、いろんな仕事を経験しろ、そして、そこで働く人たちの気持ちが 判ってから、生徒たちと向き合え。教育は頭じゃないぞ
わたしが最初に選んだ仕事は現場作業でした。「うちではこんな人は雇えない」と言われ、その場で 鋏を借り、履歴書の中学校卒業以下の欄(高校・大学・大学院)を切り落として入れてもらいました。
体を使って働くのは、実に楽しかったです。
その後五年間で13回仕事を変わりました。家や親戚からはダメ人間と言われたりしましたが、 わたしは父の言葉に忠実であっただけです。ですが、30才ではもう教師として雇ってくれるところがありません。 子供も二人生まれました。生活がかかっています。
この時期、もう一度勉強がしたくて、二年制の学校に入りましたが、半年でお金が無くなり、脱落。
ここから本気で働くことになります。 選んだ仕事がブラシ屋さんだったというわけですが、魚が目の前に流れてきたエサに喰いついたら、釣り あげられたというような、それは偶然の職業選択でした。
仕事というのは、好きになろうと努力しながら働くと、いろいろな可能性が見えてきて、それをひとつひとつ形ある ものにしていく楽しさがあります。 「働かされている」と感じているうちは、どんな小さなことでも不満や愚痴の対象になるのですが、自分から進んで 「働いている」と確信していると、たいがいのことは苦にならないものです。
皆さんも大人になったらぶつかる 壁です。このことを頭の隅っこで憶えていてほしいと思います。
   
   

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学生時代学校を卒業してから夢の実現ブラシ作りの道具追記

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
   
こうしてブラシ作りを続けていましたが、教師になる以外に、もうひとつの夢がありました。
それは60才までに、 自分がこの世にいたという証しとして、本を出したいという夢でした。
これも夢で終わるのだろうと思っていたのですが、妻に来た出版社からの執筆依頼に相乗りさせてもらい、 42歳のとき、夫婦共著の童話集「母と子のおやすみ前の小さな童話・どうぶつ編』(三交社刊 現・絶版) という形でこの夢を実現することができました。
このことは嬉しさとともに、自信をわたしに与えてくれたのでしょう。 この時期、独立してささやかな工房を自宅の庭に造っています。 「働かされる」のではなく、進んで「働く」楽しさは、このときからの身にしみて感じた体験でもあるのです。
いまは、わたしの作ったブラシを指名して買いに来て、喜んで使ってくれる人を、ひとりでも多く増やしていくことが、 もうひとつの夢となっています。 幸い、息子も仕事場に入って5年になり、小さな工房でそれなりの緊張感をもちつつ、肩を並べて働いています。
   
   

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学生時代学校を卒業してから夢の実現ブラシ作りの道具追記

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
   
最後になりましたが、ここでブラシ作りの道具について述べておきます。
穴の空いた板に毛を植え込むという作業ですから、多くの道具は使いません。
1)板を固定する「万力」

道具はとてもシンプルです

2)穴に毛を引き入れる「針金」(ステンレス製)
3)植毛した針金をかくすフタを打つ「かなづちと釘」
4)毛なみをそろえる「金グシ」
5)植毛を切りそろえる「鋏」
ざっとこれだけです。 皆さんもやる気になればすぐにでも買いそろえられるものばかりです。 もちろんこの他にも、板を切る「電動ノコギリ」とか、穴をあける「ドリル」などと、本格的にやろうとすれば、 必要なものは増えてきますが、昔からの手仕事ですから、とてもさっぱりとした小物ばかりの道具ですんでしまいます。
ブラシ作りの手順はと言えば、上に述べた順序通りに、 板を万力に固定して、獣毛を針金で穴にV字に植え込み、フタ を打ちつけ、クシで毛なみをそろえて、鋏で切りそろえて製品にする。ということになります。


板に固定し獣毛を植え込みます


特製のハサミで刈り込みます

 

ブラシが出来てゆく様子

 

種類も豊富

   

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学生時代学校を卒業してから夢の実現ブラシ作りの道具追記

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
   
仕事をする上で、特別辛いことも、苦しいこともありません。
毎日時間に追われながら、どんな人が使ってくれるのかを想像しながら、楽しく仕事をしています。
この仕事で、一人前と呼べるには、集中力の問題もありますが、一日十時間、板と格闘して7年から10年くらいのものでしょう。 ですが、わたしの考えでは、だれも作っていない新しい物を7〜10種類作り、それが持続的に売れるようになれば、 一人前と言えるのではないかと考えています。
   

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